「なるほどですね」は失礼?代わりとなる言い方は



「なるほどですね」は失礼というよりも、不自然な言い方なので使わない方が無難な言葉です。

「なるほど」は感動詞

「あっ」「うーん」「ひえー」「へー」と「なるほど」が同じ語であることを表したイラスト

「なるほどですね」における「なるほど」は感動詞です1
感動詞は感動したり、相手の発言に応答したりする時に言う言葉で、前後の文章とは独立しているという特徴があります。

なので、「なるほど」を同じく感動詞である「ああ」や「あっ」と並べてみると分かりやすいです。

ああ、そうなんですね。
あっ、そうなんですね。
なるほど、そうなんですね。

こういった言い方をする人はいますが、

ああですね。
あっですね。
なるほどですね。

こう書くと明らかに不自然です。
「なるほどですね」も、この並びの中では不自然に見えると思います。
感動詞は独立しているのに一続きで書いてしまっているからですね。

ああ、ですね。
あっ、ですね。
なるほど、ですね。

間に読点「、」を置いてみると、「ああ」と「あっ」は自然になりました。
しかし「なるほど」に関しては「なるほど」と「ですね」が離れているような、ちぐはぐな印象が強まっていると思います。

この場合の「ああ」と「あっ」は驚きを伴いつつ納得した際に言う言葉なので、「納得」した後に続けて「ですね」と「同意」することは、流れとしては自然です。

しかし、「なるほど」には「同意」の意味があります。
なので、「なるほど、ですね」は「同意」した後にまた「同意」してしまっています。

失礼に思われるかは相手の考え方や自分との関係性によりますが、違和感を抱かせる可能性があるため、避けた方が無難だと言えます。

敬語としても、「ですね」は「そうですね」や「そうなのですね」を省略した丁寧語でしょうから、ややくだけた言い方です。

「なるほどですね」の言い換え

色々な相槌の打ち方を覚えておくと便利です

同じ意味の言い方としては「なるほど、おっしゃる通りですね」が自然で、かつ相手に対しても丁寧です。

尊敬語の「おっしゃる」が含まれているので、目上の相手に言う敬語としても適切です。

とはいえ少し長いですし、返事に毎回「あっ」を付けると相手が不快に感じるのと同様に、「なるほど」も多用しすぎると失礼です。

また、相手が何を言っても「おっしゃる通りですね」と返すと、当然「本当に理解しているの?」と思われてしまいますから、適度に言い方を変えましょう。

自分の言葉で返答をするのが一番だと思いますが、一例としては以下の言い方があります。

  • 腑に落ちました
  • そうなのですね
  • 納得いたしました(納得しました)
  • 理解いたしました(理解しました)

「いたしました」と「しました」は相手との関係性や、内容に応じて使い分けます。
基本的に目上の人には「いたしました」の方が良いのですが、些細なことに対する同意であれば「しました」の方が自然な場合もあります。

相手からの指示や助言に対しては、

  • かしこまりました
  • 承りました(うけたまわりました)

と言える場合もあります。

ちなみに、よくネット上の記事では「勉強になります」という言い換えを推奨しているものを見かけますが、意味がそもそも違うので適切ではありません。
ただ、本当に学びになった際の相槌としては相手に好印象なので、語彙として覚えておくと役に立つ言葉です。

出典


  1. 広辞苑 第七版、デジタル大辞泉 ver.3.2.0、スーパー大辞林 3.0 【成る程】の項
    「なるほど」には「たしかに」「まことに」という意味の副詞としての意味もあります。 ↩︎