敬語は本当に大切?ビジネスにおける敬語の重要性
相手によって使い分ける必要のある「敬語」は本当に必要なのでしょうか。
今回は、特にビジネスでの利用に焦点を当てた敬語の利点・欠点について解説します。
敬語は第一印象を決める重要な言葉
敬語は「自分はどのような立場か、相手をどう思っているか」を表すことができます。
例えば、知らない人から突然「道わかんないから教えて」と話しかけられたら嫌ですよね。
自分のことを軽く見られているようですし、そうでなくても距離感が適切でないため良い印象を抱きません。
ですが「すみません、道を教えていただけますか」と言われると、わだかまりは少なくなります。
他にも「田中先生いる?」より、
- 田中先生はいらっしゃる?(尊敬語)
- 田中先生はいますか?(丁寧語)
- 田中先生はいらっしゃいますか?(尊敬語 + 丁寧語)
のような言い方だと、田中先生や聞き手に対する敬意が一言で分かります。
過剰な敬語
過剰な敬語は、利点である気持ちの表現が逆に見えなくなり、長文になるため相手に意味が伝わりにくくなります。
例えば先方に「してもらえると嬉しい」と伝えたい場合、
「なさっていただけますと恐悦至極に存じます」だと発言の内容が伝わりにくくなります。
「していただければ幸いです」だと大抵の状況において適度な敬語で、意味もすぐに理解できます。
ただし、格式高い状況では適切な敬意にした、
「していただけると恐悦至極に存じます」や「していただけると幸甚です」などが好ましいです。
このように、一つの文にできる限り尊敬語や謙譲語を入れることが必ずしも最善とは限りません。
丁寧語も同様で、例えば文章によっては「つきまして」や「関しまして」だと読みづらくなるので、あえて「ついて」や「関して」にするなど、文の一部に敬語を用いず簡潔にした方が読みやすい場合もあります。
敬語の欠点
敬語の欠点は、地域や世代によって意味合いが変わることです。
特に世代ごとの違いは大きく、例えば2018年の調査によると「ご丁寧に」という言葉は、若い世代(20〜30代)には「丁寧に」よりも敬意が高い認識ですが、40歳以上の人には嫌みっぽく感じる傾向にあります1。
他にも個人的な経験になりますが、10代や20代の人には「よろしくお願いいたします。」よりも「よろしくお願いします🙇♂️」と書いた方が好印象なことが多いです。
当ブログは敬語で困ることの多い「10代〜30代の人が、40代〜60代の目上の人に対して用いる場合」という状況を想定して記事を書いていますが、全ての状況で完璧に適切な敬語というものは存在しません。
とはいえ、どんな世代でも嫌みや無礼だと勘違いされたり、そもそも意味が正しく伝わらなかったりしやすい言い回しはあります。
そういった言葉は避け、地域によって敬意の度合いが変わる敬語は注意して用いる工夫が必要です。
ビジネスにおける敬語の重要性
記事の最初に「敬語は第一印象を決める重要な言葉」と書きましたが、ビジネスでは初対面より先にメールでの交流をすることが多々あります。
敬語は円滑な関係を築くためのものですが、特定の職業や敬語に厳格な相手でもない限り、会話で正確な敬語の使い分けが求められる状況は多くありません。
会話の場合はは話し方や表情など、敬語以外でも様々な情報を伝えられるためです。
相手のすることに謙譲語を用いてしまうなど、嫌みに聞こえてしまうような言い方には気をつける必要がありますが、「おっしゃられる」のような二重敬語くらいで機嫌を悪くされることは滅多に無いでしょう。
しかし、文章の場合は別です。
文章が伝えられる情報の全てである場合も多く、敬語の使い分けの重要性が高くなります。
まだ会ったこともない、どのような人かも分かっていない相手からのメールに敬語や日本語の間違いが多々あれば、「この人は新卒か、インターンシップ中の学生かな…」と判断されるのは当然のことです。
逆に、その状況において適切な敬意を込めた正しい敬語であれば、会う前から印象が良くなります。
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出典
「丁寧に」? 「ご丁寧に」? NHK放送文化研究所 ↩︎